こんにちは、メーカーで広報担当をしているネギチです。
- 広報の仕事に興味があるけど、具体的にはどんな感じなんだろう?
- 広報部に異動になったけど、何をしたらよいの?
という人向けに、広報部の仕事内容を紹介していきます。
広報の仕事はやらないと会社が回らないものではないため、どの範囲までどのレベルまでやるかは会社によって異なりますが、共通している仕事内容も多くあります。
今回は、メーカー2社での広報経験と、他社広報担当者との交流で得た情報を基にまとめてみました。

広報に興味を持ってくれる人が増えたらうれしい!
広報部の仕事内容の全体像

広報の仕事内容をマッピングしてみると、このようなイメージです。
- 縦軸は目的
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- 会社に対しての信頼や共感を高める「エンゲージメント向上」
- 事業活動に影響を及ぼすリスクを最小限にする「リスク回避」
広報の目的は、「会社の企業価値を高める」ことなので、そのためにプラスの取り組みとして「エンゲージメント向上」、マイナスを避けるための取り組みとして「リスク回避」を行います。
- 横軸はターゲット
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- 社外(お客様、取引先、求職者、地域、株主・投資家、行政など)
- 社内(社員とその家族)
広報のターゲットは社外が主な印象ですが、ここ数年は社員向けの活動の重要性が年々高まっているため、社内外どちらも重要なターゲットと考える必要があります。

ええ…こんなに業務範囲が広いの?
と、不安になった人もいるかもしれませんが、そんなに心配しなくても大丈夫です。
広報担当者が多くいる大企業では、メディアリレーションズ、オウンドメディア運営、社内広報などそれぞれ分業制にしている場合がほとんどなので、個人の業務範囲は限られてきます。
一方で、広報担当者が数人しかいない場合は、上場していないためIR・SRが不要だったり、運営しているオウンドメディアが少なかったり、業務範囲が絞られていることが多いです。
とはいっても、すべての領域に長けている広報担当者は重宝されるので、経験する機会があるようでしたら、いろいろな広報業務に関わってみることをおすすめします。
社外広報/社内広報の共通の仕事
企業ブランディング

「これからの時代、大事なのはブランディングだよ?」
本やセミナーで少し聞きかじった程度の上司が、このようにドヤってくることが多々ある「ブランディング」についてです。
企業ブランディングは、会社という「ブランド」に対して、ステークホルダーに共通のイメージを持ってもらうための活動です。
そのイメージは他社と差別化でき、企業価値向上につながるものにすることが望ましいです。
難しく書いてしまいましたが、つまりは、会社ってどういう特徴なの?何を目指しているの?という自社の強みを明確にして、周りのみんなに知ってもらい共感してもらえるようにすることです。
一般的なステップは、
社長インタビューやワークショップを実施して、自社のコアとなるものを深掘りしていきます。
ブランドイメージを伝えるために、ロゴ、ブランドステートメント、ブランドスローガン、企業理念といったツールを制作します。
制作したブランドツールを中心に、リリース、オウンドメディア、イベントなどで社内外に周知していきます。
ブランディングは社長を筆頭に社内のキーマンの協力が不可欠ですし、浸透まで考えると2~3年単位の長期的な仕事になります。
広報部主体で動くというよりは、社内で推進チームを作り、ブランディングコンサルタントの指南のもと進めていく企業が多いです。
広報戦略の立案

広報戦略とは、経営方針に基づき、広報として経営に貢献するための計画を立てることで、当社では3年程度の中期計画と1年の短期計画を策定しています。
前述したように広報の仕事の範囲は広く予算も限られているため、どこに焦点を当てて活動するかを明確にする必要があります。
- ゴールはどこを目指しているか
- 達成判断のKPIは何を設定するか
- 誰をターゲットにするか
- そのための手段は何を用いるか
- 何を伝えるのか
- いつ実施するのか
- 各施策の優先順位
を明示するようにしましょう。
情報収集・分析・管理

「情報」の取り扱いは広報にとって重要な仕事の一つです。
情報収集
インプットなくしてアウトプットはできないため、常にアンテナを高く、情報を取りに行く必要があります。
社外情報としては、業界情報、競合他社やグループ会社の動向、自社のメディア露出、地域情報、トレンドを押さえておくとよいでしょう。
社内情報は、社内から情報が集まってくる風土を作るのが一番よいですが、これは時間がかかるため、他部署に情報がないか積極的な声かけをしつつ関係性を築いていくのがよいでしょう。
情報の分析
実施している施策の評価として、自社コンテンツのアクセス状況や、リリースごとのメディア露出をKPIに設定することがあるので、ツールを使って分析をするのも広報の仕事になります。
情報の管理
集めた情報は広報部だけで持っておくのではなく、必要に応じて社内に展開することが望ましいです。
ニュース記事は掲示板やメールで展開したり、写真素材はデータアーカイブとして社員が誰でも利用できるようにするなど、情報を用いて社員のモチベーションや業務効率アップにつなげていきましょう。
社外広報の仕事
メディアリレーションズ

広報のイメージで一番強いのが、この「メディアリレーションズ」ではないでしょうか。
直訳通り、メディアの記者との信頼関係を作ることです。
一般的な対応内容としては、
- ニュースリリースの作成・配信
- メディア取材対応
- メディア向けイベントの開催
などがあります。
広告出稿

広告出稿は宣伝活動なので厳密には広報とは異なりますが、広報人員が潤沢な大企業でもない限り、同じ部署が兼ねていることが多いです。
広告出稿では、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、web、看板、デジタルサイネージなどの媒体にお金を払ってCMや広告を掲出してもらいます。
ターゲットや予算から、媒体の選定、掲出タイミング・ボリュームの検討を行い、それに適したCMや広告を制作して掲出します。
どれか一つの媒体を選ぶのではなく、ターゲットと複数のタッチポイントをつくれるよう、クロスメディアを用いるのが一般的です。
社外向けオウンドメディア/イベント運営

近年、重要度が高まっているのが、オウンドメディアの活用です。
社外向けには、自社サイト、会社案内、会社紹介動画、ノベルティ、SNS自社アカウント、ファクトブック、サスティナビリティレポート、ショールームなどがあります。
自社サイトと会社案内はほとんどの企業が運用していますが、それ以外はどんなオウンドメディアを運用するか会社方針や規模によって変わります。
また、自社主催でお客様や地域の方向けのイベントを実施したり、展示イベントに出展することもあります。
IR・SR

IR・SRは、投資家・株主をターゲットにしているため、広報部の中にある場合と別組織になっている場合があります。
主な仕事内容は、
- 投資家・株主に経営状況、財務状況、業績を伝える
- 投資家・株主からの意見を経営にフィードバックする
ことで、四半期ごとの決算発表、株主総会、アナリストや機関投資家向けの説明会でこれらを実現します。
危機管理広報

危機管理広報とは、会社にとっての危機が発生したときに、被害を最小限に抑えて、迅速に収束させるための活動です。不正や不祥事、災害などが該当します。
事前にできることとしては、経営層に向けた記者会見トレーニング、危機発生時にどう対応するかの危機管理マニュアルの作成があります。
危機発生時には、マニュアルに沿ってステークホルダーに状況をきちんと説明することが求められます。
社外窓口対応

情報開示にあたって、親会社や子会社の広報担当者とのやり取りが必要になるケースがあるため、そのような場合は窓口となって対応します。
また、電話や問い合わせフォームから、他社や個人からの依頼・相談・クレームが入ることもあるので、状況に応じて他部署に展開をしていきます。
社内広報の仕事
社内向けオウンドメディア/イベント運営

社外向けとは別で、社内向けのオウンドメディアも運用します。
社内向けのオウンドメディアには、社内報、web版社内報、アプリ版社内報、社内サイネージ、社内掲示板、社内展示などがあります。
社内コミュニケーション強化施策

社内でのコミュニケーション活性化を目的として、社内イントラや社内SNSを活用する場合があります。
ツールの導入は情報システム部門が主導する場合が多いですが、社員が情報発信をしやすくするための仕組み作りは社内広報が担うこともあります。
他部署連携・フォロー

社内広報をやっていて意外とリソースを割くことになるのが他部署との関わりです。
- イベントするから写真撮りに来てよ
- こんな感じの動画作りたいんだけど手伝ってよ
というお声がかかることがよくあります。
他部署と関係づくりをできるというメリットはあるものの、広報は制作屋ではないのでこのようなフォローにばかり時間は使えないという悩ましい問題ではあります。
まとめ:広報部の仕事は多岐に渡る!社外広報も社内広報も重要
この記事では、広報の仕事内容をざっくりと紹介してきました。
広報の主な仕事としては下記があります。
- 企業ブランディング
- 広報戦略の立案
- 情報収集・分析・管理
- メディアリレーションズ
- 広告出稿
- オウンドメディア/イベント運営
- IR・SR
- 危機管理広報
- 社外窓口対応
- 社内コミュニケーション強化施策
- 他部署連携・フォロー
仕事範囲が広く大変な仕事ですが、会社のよいところを一番近くで発見できる、それを多くの人に伝えることができる仕事です。

楽しく広報の仕事をしていこう!
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